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お役立ちコラム

発達障害の子どもは記憶力が良い?悪い? 親が知っておきたい4つのポイント

  • 執筆者の写真: 相談 いーよ
    相談 いーよ
  • 2025年11月15日
  • 読了時間: 11分

更新日:2025年11月17日


発達障害のお子さんは、車や電車などひとつの分野に興味を持ちやすく、大人もびっくりするような細かいことを暗記していることがあります。


そのため記憶力が優れているといわれることが多いです。



その一方で、記憶力の良さから過去の嫌な出来事がなかなか忘れられず、フラッシュバックに苦しめられてしまうことも。


また、同じ発達障害といわれるお子さんの中には、何度注意しても忘れてしまう(指示がなかなか通らない)などの記憶力の不得意さが心配になってしまうお子さんも。



なぜ同じ発達障害という疾患なのに、対照的な特性をもつのでしょうか。


それは、発達障害にはASDADHDという異なる疾患が含まれているからです。



この記事では、記憶力のよしあしの理由サポート法を、わかりやすく解説しています。



目次.

3-1. 一つのことを掘り下げることが好き

3-2. 視覚情報の処理が得意

3-3. ルールや決まり事が好き

3-4. 安心材料として、過去の記憶を残しておくようにする

3-5. サヴァン症候群

4-1. ワーキングメモリの不得意さ

4-2. 不注意で覚えていないように見える

4-3. 興味がないものは覚えられない

4-4. 文字が覚えられないのはディスレキシアかも……

5-1. 嫌なことを忘れられない

5-2. 過集中

5-3. 得意・苦手の凸凹が存在する

6-1. 家庭でできるサポート方法

6-2. 無理に「普通」を目指さないことの大切さ

 



1.記憶力は、2種類(長期記憶と短期記憶)ある!


勉強する女の子

記憶というのは保存期間によって、「短期記憶」「長期記憶」に分かれます。

まずはそれぞれの特徴を、詳しくみてみましょう。

 

メモ帳のような「短期記憶」

短期記憶とは、数秒から数分の一時的な記憶のことを言います。容量と保持時間に制限があるため、容量オーバーになると先に覚えたものから忘れてしい、時間がたつとどれも消えてしまいます。また、忘れる前に反復することで、長期記憶に移行すると考えられています。

 

お子さんの日常では、短期記憶は以下のようなときに必要となります。

 

   ●指示を聞いて、そのとおりに行動に移す

 ●板書をする

 

このように、すぐに行動にうつさないと忘れてしまうのが短期記憶です。

短期記憶の中でも、作業しながら一時的に情報を覚えておく力を、ワーキングメモリーと呼びます。

参考:短期記憶の連続時間モデルの検証

 


本棚のような「長期記憶」

長期記憶とは、定着すればほぼ一生保存される記憶のことです。短期記憶とは異なり、容量の制限などはありません。

 

思い出そうとしなくても、視覚や嗅覚、聴覚などの五感がよびおこす記憶で、以下のようなものがあります。

 ●家族との思い出

 ●好きな列車の時刻表

 ●勉強で覚えた九九

 ●事故の記憶

 

繰り返された短期記憶以外にも、強い興味や、印象ぶかい出来事などが自然に長期記憶として定着します。


では、発達障害のお子さんはどんな記憶の特徴をもっているのでしょうか?

その前に、もうひとつ大事な、発達障害の分類についても説明させてください。

 



2.発達障害とは? まず知っておきたい基礎知識

 

最近耳なじみも多い発達障害という言葉ですが、目にすることも多い分、少し誤解を招くようなとらえ方をしているケースもある印象があります。


まずは疾患に対する正しい理解が、お子さんの健やかな成長には欠かせないと私は考えています。



なので、まずは発達障害についての説明を少ししようと思います。

 

発達障害とはいくつかの疾患の総称で、おもな疾患としては自閉スペクトラム症(ASD、アスペルガー)と注意欠如多動症(ADHD)があります。


ASDは、コミュニケーションの障害限られた興味や反復性が診断の軸となり、ADHDは不注意多動が診断の軸となります。


どちらも、特性によって得意なこと、苦手なことに大きな差(凸凹)が生まれやすいのが特徴です。


(そのほかくわしい診断・治療についてはこちらの記事をご覧ください。)

 


そして、この疾患の特徴が、いろいろな症状となり私たちの目に見えてくるようになります。そのひとつが記憶力の良しあしなのです。

 



3.発達障害の子どもが「記憶力が良い」と感じる理由


アルファベットの積み木

 

発達障害のお子さんは、記憶力が良いといわれますが、それは長期記憶の得意さやASDの特性が関連していることが一般的です。

その理由には以下の6つが考えられます。


 1. 長期記憶が優れている

 2. 一つのことを掘り下げることが好き

 3. 視覚情報の処理が得意

 4. ルールや決まり事が好き

 5. 安心材料として、過去の記憶を残しておくようにする

 6. サヴァン症候群


それぞれをくわしく、見ていきましょう。

 

長期記憶が優れている

そもそも、ASDのお子さんは、長期記憶がすぐれているお子さんが多いです。

その対象は、興味をもたないものから一瞬ふれただけのものまで幅広く、忘れたくても忘れられないというのも、ASDの記憶の特徴のひとつと言えます。

 


一つのことを掘り下げることが好き

ASDの特性のひとつに、限られた興味があるということは先ほどお伝えしました。

この限られた興味には、特定のもの(地図・電車・数字など)に強い関心を持ち続けるという特徴が含まれます。


もともと長期記憶が得意なうえに、興味のあることを繰り返すことで、さらに優れた記憶力を有するお子さんになっていきます。

 

視覚情報の処理が得意

ASDのお子さんは、聴覚的な情報処理よりも視覚的な情報処理の方が得意なお子さんが多いと言われています。

これは、聴覚過敏や聴覚鈍麻が原因で、必要な音を選びにくいのも関係しています。


この視覚情報処理能力の最たるものが、「カメラアイ」と呼ばれるもので、場面やページごと写真を撮ったように記憶することが可能なお子さんもいます。


このような特徴により、情報を正確に記憶することができるのです。


 

ルールや決まり事が好き

これは、ASDの反復性がもたらす兆候です。決まった儀式的なことが好きなため、一度経験したことは記憶に残し、決まり事として忠実に行おうとします。



安心材料として、過去の記憶を残しておくようにする

新しい場面に対して苦手意識が強いため、なるべく多くを記憶することで、安心材料としての経験値を増やそうするお子さんも多いです。



サヴァン症候群

サヴァン症候群とは、発達障害や知的障害を持ちながら特定の分野で突出した能力を有するケースをさします。

例としては、以下のようなものがあります。


 ●一瞬見ただけの景色を正確に描ける

 ●過去のカレンダーの日付と曜日を即答できる。

 

サヴァン症候群も多くのASDと同じく、得意不得意の凸凹が大きいと言われています。

では、発達障害で記憶力が悪いと感じるケースは、どのような理由があるのでしょうか?



4.逆に、「記憶が苦手」と感じる理由


本を指さす子ども

こちらは、短期記憶の苦手さやADHDの特性による、以下の4つの理由が考えられます。

 

1. ワーキングメモリの不得意さ

 2. 不注意で覚えていないように見える

 3. 興味がないものは覚えられない

 4. 文字が覚えられないのはディスレキシアかも……

 

これらの特性が、どのように困りごとにつながっていくか、ひとつずつ解説していきます。

 

ワーキングメモリの不得意さ

発達障害、とくにADHDをもつお子さんは、何かをしながら記憶する力であるワーキングメモリーが弱い傾向にあります。

そのため、単なる「物覚えの悪さ」とは違い、処理の流れを頭に保持できないために、結果として「覚えられない」「忘れる」という現象が起こってしまうのです。



 

不注意で覚えていないように見える

また、ADHD不注意型のお子さんは、記憶としては定着しているのに、不注意によってそう見えないケースがあります。

以下が例です。


 ●テストで文章を読み間違えてしまい、覚えていたのに答えを間違えてしまう。

 ●注意がそれていたため、聞き逃して指示に従えない

 

 

興味がないものは覚えられない

ADHDのお子さんは、興味がなかったり、気が進まないと物事に集中することが一段と難しくなるため、記憶力自体には問題がないケースでも、なかなか記憶として定着せず、記憶力に問題があるようにみえるケースも散見されます。

 

一方、ASDでも記憶力が不得意にみえるケースも存在します。

それは、ASDの興味の限局によるものです。ASDのお子さんも、ADHDのお子さんと同じように興味がないものに関心がなかなか向かない傾向があるため、同様に記憶力に問題があるようにみえるのです。



 

文字が覚えられないのはディスレキシアかも……

文字(ひらがな、漢字、数字)のみがなかなか覚えられない、音読が苦手などがある場合は、発達障害の一つである学習障害(LD)かもしれません。


LDには、「読字障害(ディスレクシア)」や「書字障害(ディスグラフィア)」「算数障害(ディスカリキュリア)」などがあります。


なんとか頑張って覚えられていても、覚えるのに人一倍努力や時間を必要とする場合は、LDの可能性があります。


LDの有病率4.5%と言われ、日本語の性質上発見されにくいと指摘されています。もしLDを有している場合、文字の練習にコツがいるため、可能性を感じたら、児童精神科で相談してみましょう。




 

5.記憶力が「良い」ことでのデメリット 


記憶力が良いと聞くと、うらやましいと感じますが、記憶力が良すぎる場合はデメリットとなってしまうこともあります。

デメリットには以下のような例があります。

 

 1. 嫌なことを忘れられない

 2. 過集中

 3. 得意・苦手の凸凹が存在する

 


嫌なことを忘れられない

覚えていたくないことも忘れられないというのは、とても苦しいものです。

そして、思い出したくなくても思い出してしまうフラッシュバックにつながってしまうことも。

 


過集中

記憶力のよさにもつながる集中力ですが、集中しすぎてしまうと、日常生活までもがおろそかになってしまったり、友達関係がうまくいかなくなってしまったりなどの弊害もでてきます。



得意・苦手の凸凹が存在する

得意なことがあるという事は、その分苦手が存在するという事です。


発達障害のお子さんたちは、特にその凸凹が大きくなってしまいがちです。得意がある分、苦手が本人にとっても周りにとっても目についてしまい、自信のなさにつながってしまう場合も。

 



6.子どもの記憶力に不安を感じたらどうすればいい?


積み木で遊ぶ子ども

では、実際に記憶力に不安を感じたばあいに、おうちでどのようにお子さんに関われば良いのでしょうか?

ご家庭でできるサポート法をいくつかご紹介します。



家庭でできるサポート方法


●視覚支援を活用する → 予定ややることをイラストや写真で見える化する


 ●一度に伝える情報を減らす → 「ランドセルを持って、上着を着て、玄関に行って」ではなく、まず「ランドセルを持ってね」と一つずつ伝える


 ●シールやポイントなどのトークンを導入


 ●フラッシュバックには → お子さんの恐怖心を受け止め、本人が安心できるルーティーン(お風呂-

絵本-寝る)やアイテム(ぬいぐるみなど)を確保し、体感覚に注目させるグラウンディング(手をぎゅっと握ってぱっとひらくなど)を活用する。



これらは、ワーキングメモリの負担を減らし、記憶力の困りごとをカバーするのに有効です。

 


無理に「普通」を目指さないことの大切さ

何より大事なのは、「みんなと同じようにできる子」になろうと無理をさせないことです。

 

発達障害の特性を持つ子どもたちは、自分でも「うまくいかない」ことを敏感に感じ取っています。

失敗を責めたり、普通を押しつけると、自己肯定感が低下してしまいます。

 

それよりも、「あなたにはあなたのやり方がある」と、肯定してあげることが、成長の大きな助けになります。

 


まとめ: 一人で悩まないで。女性専門医にオンラインで相談できます


お子さんの記憶力について不安を感じても、「相談するほどのことなのかな…」と迷うかたも多いと思います。


でも、迷ったときこそ早めに専門家に相談することが大切です。

なぜなら、その迷いこそ、お子さんの可能性を最大限に引き出せるきかっかけだからです。


【いーよ相談】では、発達障害を専門とする女性医師が、お子さんの発達について丁寧にお話を伺います。


●子どもの記憶力が気になる

●生活や学習面で心配がある

● 家庭での接し方を知りたい


そんな方に、安心してご利用いただけます。



発達障害の子どもたちは、記憶力が「良い」「悪い」という単純なものではなく、得意と苦手の凸凹を持っていることが多いです。

そして、お子さんたちの力を引き出すには、「普通」を目指すより、「個性」を活かす視点が大切です。


困ったときは、一人で抱え込まず、ぜひ専門家の力を借りてみてくださいね。

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