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お役立ちコラム

発達障害の療育|内容・始め方・療育手帳まで分かりやすく解説

  • 5月20日
  • 読了時間: 14分

更新日:6月30日


「発達障害のお子さんには、早期の療育が大切です。」というフレーズ、一度は聞いたことがあると思います。


でも実際、「何をするの?」「どこに行けばいい?」と思っている方も多いのではないでしょうか。



この記事では、発達障害の療育の基本から具体的な内容・始め方・費用・療育手帳まで、親御さんが知りたいことをまるごと解説していきます。



目次.

1-1. 療育の定義と目的

1-2. 早期療育が大切と言われる理由

1-3. 診断前でも療育を受けられるケース

2-1.  SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは|対人関係を育てる療育

2-2. ABA(応用行動分析)とは|行動を段階的に伸ばす療育

2-3. 感覚統合療法とは|感覚の過敏さに対応する療育

2-4. 言語療法・作業療法とは|言葉と手先を育てる療育

3-1. ペアレントトレーニングの目的

3-2. 親の関わり方が子どもに与える影響

3-3. 家庭で実践できる関わり方

4-1. 療育手帳の対象・等級・取得メリット

4-2. 療育手帳がなくても療育は受けられる?

4-3. 手帳の申請手順とよくある疑問

5-1. 児童発達支援・放課後等デイサービスの違い

5-2. 療育の費用と補助制度(自治体・受給者証)

5-3. 施設選びで失敗しないための3つのポイント

6-1. 子どもの困りごとが減る理由

6-2. 自信や社会性を育てる効果

6-3. 療育だけに頼らない家庭の関わりを学べる

6-4. やりすぎは母子ともに負担に

7-1. 発達の気になるサイン

7-2. グレーゾーンの子どもと療育

7-3. 専門家に相談するメリット

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1. 発達障害の「療育」とは何か?基本をわかりやすく解説



子供が木のテーブルでカラフルなクレヨンを使って楽しげに絵を描いている。明るい色合いで、紙に丸い顔が描かれている。

(1)  療育の定義と目的


「療育」とは、治療(therapy)と教育(education)を組み合わせた言葉です。


医療・福祉・教育が連携しながら、「社会の中でより自分らしく生きていける力」を育てることを目的としています。



ここで重要なことは、療育は「できないことを治す」ためのものではありません。


その子の特性を理解したうえで、得意なことを伸ばし・苦手なことへの対処法を一緒に考える場です。



たとえば、こんなことが療育のゴールになります。


  • 友達に気持ちを伝えられるようになる

  • 感覚過敏をうまくコントロールする方法を覚える

  • 見通しが持てず不安になることを減らす

  • 日常生活の動作(着替え、食事など)をスムーズにする


このように、「その子が生きやすくなる」ためのサポートと理解してください。





(2) 早期療育が大切と言われる理由


「早期療育が大切」とよく言われますが、なぜでしょうか?



脳の発達は、幼児期に著しく進みます。


この時期は「脳の可塑性(かそせい)」が高く、適切な支援や刺激によって、機能が発達しやすい状態にあります。

つまり、早い時期に子どもの特性に合わせた関わりを始めることで、困りごとが軽減しやすくなるのです。



ただし、「早くしなければ!」と焦りすぎる必要はありません。

もちろん一番効果が高いのは幼児期ですが、療育の効果は、小学生・中学生・大人になってからも見られます


大切なのは「早さ」よりも、「その子に合った・その子がしたいことを叶える支援」を続けることです。


 


(3) 診断前でも療育を受けられるケース


「まだ診断が出ていないから、療育は受けられない」と思っていませんか?


実は、診断がなくても療育を受けられる場合があります


多くの自治体では、発達に心配がある子どもを対象に、診断前でも「児童発達支援」などのサービスを利用できる制度があります。


受給者証(障害児通所支援の利用に必要な証明書)の取得には、医師の診断書が必要ない自治体も多く、かかりつけ医や保健師の意見書だけで申請できることもあります。


「まだ診断が出ていないから」と諦めず、まずはお住まいの自治体の発達支援窓口や、専門家への相談から始めてみましょう。

 




2. 療育ではどんなことをするの?



療育にはいくつかの種類があり、お子さんの特性や年齢・目的に応じて選ばれます。


代表的なものをみてみましょう。


子供たちが木製のテーブルでアルファベット練習帳に色をつけている。紫のペンケースとカラフルなマーカーが見える。

(1) SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは|対人関係を育てる療育


SST(Social Skill Training=ソーシャルスキルトレーニング)は、人と関わるために必要な「社会的スキル」を、練習を通じて身につけていく療育です。


発達障害のあるお子さんは、「場の空気を読む」「相手の気持ちを想像する」「自分の感情をうまく伝える」といった場面で困ることがよくあります。

SSTでは、そうしたスキルをゲームロールプレイを使って楽しく学んでいきます。



SSTで練習する内容の例


  • 友達への話しかけ方・断り方

  • 順番を守ったり待ったりすること

  • 感情のコントロール(怒りのおさめ方など)

  • 困ったときの助けの求め方


「なんでそんなこともわからないの!」と叱るよりも、SSTのように具体的なスキルとして教えてあげることで、お子さんの社会性は着実に成長できます。




(2) ABA(応用行動分析)とは|行動を段階的に伸ばす療育


ABA(Applied Behavior Analysis=応用行動分析)は、行動の仕組みを科学的に分析して、よい行動を増やし、困った行動を減らしていくアプローチです。



「その行動の前後に何があるか」を細かく観察し、褒める・強化するなどの方法で、少しずつ望ましい行動を引き出していきます。

特に自閉スペクトラム症(ASD)のお子さんへの支援で多く用いられる手法です。



ご家庭でも取り入れやすく、「できたら即ほめる」「タスクを小さなステップに分ける」などの考え方は、日常の関わりにも活かせます。




(3) 感覚統合療法とは|感覚の過敏さに対応する療育


感覚統合療法は、脳が感覚情報をうまく処理できるよう支援する療育です。


発達障害のお子さんの中には、音や光・触感に非常に敏感だったり、逆に感覚を強く求める行動をとったりする子がいます。

これは「感覚統合」の発達に偏りがあるためです。


感覚統合療法では、ブランコや滑り台・粘土などを使って全身で感覚を体験し、脳が感覚をうまく整理できるよう働きかけます。作業療法士(OT)が専門的に行う療育です。




(4) 言語療法・作業療法とは|言葉と手先を育てる療育


言語療法(ST)は、言葉の遅れや発音のしにくさ、コミュニケーションの困難さに対して、言語聴覚士が支援する療育です。


「発語が少ない」「言葉の意味が理解しにくい」といったお子さんに適しています。



作業療法(OT)は、着替えや食事・書字など日常生活の動作や、手先の器用さを育てる療育です。感覚統合療法と組み合わせて行われることも多くあります。


「言葉が出ない」「不器用さが目立つ」といったお子さんには、こうした専門的な療育が力になります。




3. 親も学ぶ「発達ペアレントトレーニング」とは



(1) ペアレントトレーニングの目的


発達ペアレントトレーニング(ペアトレ)とは、親御さんを対象に、子どもへの効果的な関わり方を学ぶプログラムです。


お子さんだけが療育を学んでも、家での関わり方が変わらなければ、効果が半減してしまうことがあります。



ペアレントトレーニングは、親御さんが家庭の中で「療育的な関わり」ができるようになることを目的としています。


現在、国内外で効果が認められており、自治体や発達支援センターで実施されているほか、クリニックやオンラインでも受けられるようになっています。



(2) 親の関わり方が子どもに与える影響


発達障害のあるお子さんは、叱られると自己肯定感が下がりやすく、「どうせ自分はダメだ」という気持ちが育ってしまいます。


一方で、お子さんの行動を正しく理解し、できたことをしっかりほめる関わりを続けると、子どもは安心感を得て、少しずつ力を伸ばしていきます。



また、親御さん自身のストレスをお子さんは、敏感に感じ取ります。


ペアレントトレーニングで、お子さんへの効果的な接し方を学ぶことで、親御さん自身の心の負担を減らすことにもつながります。




(3) 家庭で実践できる関わり方


ペアレントトレーニングで学ぶ内容の一部を、実際にご紹介します。


①できたことをすぐに・具体的にほめる 

「えらかったね」より「ご飯を残さず食べられたね!すごい!」のように、何がよかったかを明確にほめます。


②指示は短く・具体的に

 「ちゃんとしなさい」ではなく「靴を棚に入れてね」と、端的に指示を出します。


③見通しを伝える 

「あと5分で出かけるよ」など、次に何が起こるかを前もって伝えることで、切り替えがしやすくなります。


④困った行動は無視し、よい行動を強化する

 問題行動は叱るより無視をし、望ましい行動はすぐにほめるほうが効果があります。



こうした関わり方は、毎日の積み重ねが大切です。

焦らず、できることから始めてみてください。




4. 療育手帳とは?取得方法と療育との関係



青いセーターを着た子供がぬりえブックを見ている。指さしているページには幾何学模様と数字が描かれている。


(1) 療育手帳の対象・等級・取得メリット


療育手帳は、知的障害のある方が取得できる手帳です(都道府県によって「愛の手帳」「みどりの手帳」など名称が異なります)。

注意:発達障害があっても、知的障害を伴わない場合は療育手帳の対象にならないことがあります。


療育手帳の等級は、知的障害の程度によって「重度(A)」「中度・軽度(B)」などに分けられます(自治体によって基準が異なります)。


療育手帳を取得するメリット

  • 福祉サービスや障害者施設の利用がしやすくなる

  • 税金の控除や公共交通機関の割引が受けられる

  • 就労支援サービスを利用できる

  • 特別支援教育を受けやすくなる



(2) 療育手帳がなくても療育は受けられる?


療育手帳がなくても療育は受けられます。


「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」を利用するには、療育手帳ではなく「受給者証(障害児通所受給者証)」が必要です。

受給者証は、療育手帳の有無に関わらず取得できます。


「うちの子は療育手帳がもらえないから療育は無理」と思う必要はありません。お住まいの市区町村の窓口で相談してみましょう。




(3) 手帳の申請手順とよくある疑問


療育手帳の申請手順(一般的な流れ)

  1. 市区町村の窓口(福祉課・障害福祉課など)に相談・申請

  2. 児童相談所または知的障害者更生相談所で判定を受ける

  3. 判定結果に基づいて手帳が交付される



よくある疑問

  • 「発達障害の診断があれば自動的にもらえる?」

     → いいえ。知的障害の判定が基準のため、知的障害を伴わないADHDや自閉スペクトラム症だけでは対象外になることがあります。

  • 「精神障害者保健福祉手帳との違いは?」

     → 精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患(発達障害を含む)のある方が対象で、知的障害の有無は関係ありません。発達障害がある方はこちらを取得できる場合があります。




5. 療育はどこで受けられる?施設・費用・選び方



子供の手が色鮮やかな木製の積み木を木のテーブル上に組み立てている。積み木は赤、緑、青、黄色、オレンジ。遊び心満載の場面。

(1) 児童発達支援・放課後等デイサービスの違い


児童発達支援は、未就学児(0〜6歳)を対象とした通所サービスです。

個別・集団で発達を支援するプログラムを提供しています。


放課後等デイサービス(放デイ)は、小学生〜高校生(6〜18歳)の障害のある子どもを対象とした、学校の放課後や休日に通える通所サービスです。

生活能力の向上・社会との交流・余暇の充実などを目的としています。


項目

児童発達支援

放課後等デイサービス

対象年齢

0〜6歳(未就学児)

6〜18歳(就学児)

利用時間

午前〜午後

放課後・休日

目的

発達支援・療育

生活支援・社会参加



(2) 療育の費用と補助制度(自治体・受給者証)


療育施設の利用には、受給者証(障害児通所受給者証)が必要です。


受給者証を取得すると、自治体から費用の補助を受けられます。



自己負担額の目安

  • 世帯収入に応じて、月の上限額が決められます

  • 非課税世帯:自己負担 0円

  • 一般世帯(年収890万円未満):月上限 4,600円

  • 上記を超える高所得世帯:月上限 37,200円


多くの家庭では、月4,600円以下の負担で療育を受けられます。

「費用が心配…」という方も、まず窓口で確認してみましょう。




(3) 施設選びで失敗しないための3つのポイント


療育施設は年々増えており、内容にも差があります。

選ぶ際は、以下の3点を参考にしてください。


① 子どもの特性・目的に合ったプログラムか 

感覚統合・SST・言語療法など、どのような支援を行っているか確認しましょう。

「なんとなく楽しそう」だけでなく、お子さんの困りごとに合ったアプローチをしているかが重要です。


② 専門スタッフがいるか

 作業療法士・言語聴覚士・心理士などの専門家が在籍しているかを確認しましょう。

スタッフの経験・資格・関わり方を見学時にチェックすることをおすすめします。


③ 保護者との連携があるか 

施設でのことを家庭に伝えてくれるか、療育を受けているお子さんの様子をみられるか、保護者の相談にのってくれるかも大切なポイントです。家庭と施設が連携することで、療育効果が高まります。





6. 療育を受けるメリットと注意点



(1) 子どもの困りごとが減る理由


教えたら伸びそうなことを的確なタイミングと方法で教えてくれる療育を通じて、子どもは自分の特性と向き合い、対処法を身につけていきます。


たとえば、感覚過敏があった子が感覚統合療法を受けることで、騒がしい場所でも落ち着いて過ごせるようになったという例は多くあります。


困りごとが減ると、お子さんの自信が育ち、日常生活の質が大きく改善します。




(2) 自信や社会性を育てる効果


療育では「できた!」という体験が積み重なります。

この小さな成功体験が、子どもの自己肯定感を育てます。


また、集団での療育プログラムでは、同年代の子どもと一緒に活動することで、社会性やコミュニケーション力が自然と育まれます。




(3) 療育だけに頼らない家庭の関わりを学べる


療育施設での時間は、1週間のうちのほんの一部です。


最も長い時間を過ごす「家庭」での関わりが、最もお子さんに影響を与えます。



そして、療育を受けているお子さんをみることで、お子さんができることできないことを理解し、効果的な声かけを学び、お子さんの「取り扱い説明書」を作ることが可能になります。


療育で学んだことを家庭でも実践する・専門家のアドバイスを日常に取り入れるなど、施設と家庭が連携することが、療育の効果を最大化するカギです。




(4) やりすぎは母子ともに負担に


色々な事をやらせてあげたいという親心から、療育に毎日のように通い、母子ともに疲れ果ててしまっている方がときどきいらっしゃいます。


もちろん療育は大切なツールですが、一番大切なのはお子さんもお母さんも楽しんで続けられること。

特に発達障害のお子さんは、その子のペースに合わせてゆっくりと育ててあげることが結果的に成長を促すことにつながります。


もし、しんどさを感じたら、それは少し頻度を少なくしてみるサインかもしれません。




7. 「療育が必要か分からない」ときはどうする?



(1) 発達の気になるサイン


以下のようなサインが気になる場合、専門家への相談を検討してみましょう。


幼児期に多い気になるサイン

  • 言葉の発達が遅い(2歳になっても単語が出ない、など)

  • 目が合いにくい・一人遊びが多い

  • 特定のルーティンへのこだわりが強い

  • 感覚過敏(音・触感・食感などへの強い反応)


就学後に多い気になるサイン

  • 集中が続かない

  • 授業についていけない

  • 友達関係がうまくいかない

  • 読み書きが著しく苦手

  • 忘れ物がとても多い


気になるサインがあっても、それだけで発達障害とは限りません。

ただ、早めに専門家に相談することで、適切な支援につながりやすくなります




(2) グレーゾーンの子どもと療育


「診断はつかないけれど、育てにくさを感じる」という「グレーゾーン」のお子さんも、療育の対象になり得ます。


診断名がないと支援を受けにくいと感じる方も多いですが、実際にはグレーゾーンの子どもこそ、早めの支援が大切だと言われています。


自治体の認定を受けていない民間の療育施設であれば、受給者証がなくても、「診断待ち」の間でも、相談や支援を受けれるため、ためらわず門をたたいてみてください。




(3) 専門家に相談するメリット


専門家に相談することで、以下のようなことが分かります。


  • 子どもの発達の状態・特性の理解

  • 今すぐできる家庭での関わり方

  • 療育が必要かどうかの判断

  • 地域で使えるサポートや制度の紹介


「相談したら何か決まってしまう」と不安になる方もいますが、相談はあくまで情報収集です。

相談したからといって、診断が確定したり、すぐに何かが始まったりするわけではありません。


相談してみることで、よりよい未来にするためにできることが何か1つでも見つかれば、その相談はとても意味があることだと思います。


まずは「話を聞いてもらう」だけでも、きっと心が軽くなると思います。




まとめ. もし気になることがあるなら、専門家に相談を



木の床に敷かれたラグの上で、カラフルな木琴とタンバリンで遊ぶ赤ちゃん。窓越しに柔らかな光が差し込む室内。


療育は、効果的にお子さんの成長を促す、大事なツールです。

でも、その門を開くのには、とても大きな決心が必要と感じている方も多いと思います。


当サイトでは、子育て中の親御さんからの声を受け、女性の発達専門医によるオンライン相談を行っています。


発達の問題は、非常にデリケートで繊細です。


だからこそ、自宅から気軽に相談でき、女性医師だから気持ちや悩みに寄り添ってくれる当サイトは、初めてのご相談でも安心です。 「ちょっと聞いてみたい」「発達の偏りかどうかを知りたい」「病院選びのアドバイスが欲しい」——そんな気持ちに、丁寧にお応えします。



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